董事長と総経理って?日本の役員との違いを解説!
中国の会社の役職には、董事長や董事、また総経理といったものがあります。
それぞれの違いを日本との役員と比較してまとめました。
董事 | 総経理 | 役員(取締役) | |
---|---|---|---|
役割 | ・董事会を組織し、合弁・合作企業では会社の最高意思決定機関 ・外商独資企業など株主会がある場合は董事会で重要事項を立案し、株主会で決議 ・総経理の任命 |
・日常の経営管理 ・董事会の決議事項等を実行する |
・取締役会を組織し、会社の業務執行に関する意思決定 |
代表権 | ・原則董事長が法定代表者として代表権を有する ・董事長が職責を果たせない時はその他の董事に代表権を委任 |
・董事会から授権された範囲内で代表権 ・合弁企業以外では法定代表者にもなれる |
・代表取締役に代表権、代表取締役の設置がない場合はそれぞれの取締役に代表権 ・指名委員会等設置会社では取締役に代表権なし |
選出 | ・董事は出資比率に応じて各出資者が選任 ・董事長は出資者が協議により確定するか、董事会が選任 |
・董事会で選任・解任 | ・株主総会で選任・解任 |
日本
まず、日本で言われる社長や会長、また専務、常務などの呼称は会社法上定められているものではなく、あくまで通称であり、会社法では役員は取締役(及び監査役、会計参与)のことを指します。
会社を代表して契約を結んだり対外的な行為を実行する権限を代表権と言い、この代表権が付与された取締役を代表取締役と言います。
取締役は取締役会を組織し、会社の業務執行に関する意思決定を行います。またその決定に基づいて業務を執行する代表取締役の業務執行を監督する役割も担います。
中国
一方、中国では日本の取締役にあたる役職は董事と呼ばれ、董事によって組織された董事会において会社経営上重要な意思決定をしたり、株主会に重要事項の立案をしたりします。董事の中で1名は董事長として株主から任命され、董事会を取り仕切ります。董事が1名しかいない会社は董事会を設置する必要はなく、執行董事と呼ばれます。
更に、株主や董事会によって会社の重要な意思決定が決議されるのに対し、実務面のトップが総経理と呼ばれ、日常的な経営管理の最終的な責任を負うことになります。「経理」とは日本語で言う経理と意味が異なり、中国ではマネージャーを指しますので、総経理を直訳するとゼネラルマネージャーということになります。
日常業務の最高責任者である事から日系企業の総経理を務める日本人は基本的には中国に常駐する事になる一方で、董事長や董事は日本本社で勤務しながら日本の職位と兼務していることもよく見られ、董事長や董事と総経理は兼務することも可能です。
加えて董事長か執行董事、または総経理のいずれかは法定代表人として会社を代表する事になります。
法定代表人は日本の会社代表権を有する取締役と異なり、1社に1人しか任命できません。
その他中国では日本の監査役に相当する監事という役職もありますが、ここでは割愛します。
中国での会社機関について、最も注意すべきポイントは、合弁会社においては株主会が存在せず、董事会が最高意思決定機関となる点です。独資企業であれば出資者と董事会の意思は基本的に合致しますが、合弁企業の場合は相手方の派遣する董事がおり、その意思決定は出資比率ではなく董事が一人一票保有する多数決で決まりますので、合弁先との董事の人数比率や董事会の決議事項が非常に重要になります。
なお、現在中国では外資系企業の会社機関について、独資企業、合弁企業、合作企業のそれぞれの会社形態ごとに準拠する法律が異なるため、それに伴い各機関の権限や機能、特に董事会の役割や株主会に関する規定などそれぞれ異なっている点があります。
上記のまとめはそのような厳密な違いには言及せず、非常に単純化した比較である点についてご留意ください。
参考規定:中国会社法、中外合弁企業法、中外合弁企業実施条例、中外合作経営企業法、中外合作企業実施細則、外商独資企業法、外商独資企業法実施細則、外商投資企業設立及び変更届出管理暫定弁法
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