中国 固定資産の減価償却、減損の方法は?
有形固定資産
①計上基準
以前は税務上単価2,000元以上という金額基準がありましたが、現在は旧企業会計制度において生産経営の主要な設備に属しない物品は2,000元以上で耐用年数が2年超といった基準が残っているものの、新会計準則や企業所得税法においては耐用年数が1年を超える非貨幣性資産は原則固定資産として計上するものとして金額基準は撤廃されています。
②会計上の減価償却
旧会計制度、新会計準則のいずれにおいても固定資産の性質や使用状況に応じて、合理的に耐用年数と残存価額を見積もり、減価償却方法を決定するという点では相違ありません。
減価償却方法は定額法、生産高比例法、級数法、200%定率法が認められていますが、税務上の減価償却方法で大きく実態と乖離していない場合は、税務上の処理と合わせることが一般的です。
もし会計上と税務上で適用する耐用年数や減価償却方法が異なる場合は税務申告時に調整することになります。
③税務上の減価償却
税務上の減価償却方法はかつては残存価額は取得原価の10%とされていましたが、現在は残存価額は合理的に算定するものとし、原則定額法を採用する必要があります。
償却年数は下記の通りです。
・建物、構築物 20年
・機械設備、列車、船舶、航空機 10年
・生産経営活動に関連する工具・器具・備品 5年
・航空機、電車、船舶を除く運搬具 4年
・電子設備 3年
使用を休止した固定資産については、その翌月から減価償却を停止しなければならないとされています。
なお、有形固定資産が下記の要件を満たしている場合、加速度償却が認められます。
・技術の進歩により、早い期間の製品の更新が必要な場合
・常に強度の振動、高度の腐食状態に置かれる場合
級数法もしくは200%定率法を採用するか、法定償却年数の60%以上の年数にて償却することが認められています。
ただし、加速度償却が必要となる固定資産を購入した場合は、購入後1ヶ月以内に税務届け出を行う必要があります。
さらに、2018年1月1日から2020年12月31日までの間に新規で購入した不動産や構築物を除く有形固定資産の単価が500万元を超えない場合、使用翌月の属する年度において一括償却を行うことが可能です。
無形固定資産
①計上基準
無形資産は主に、特許権、非特許技術、著作権、商標権、土地使用権といった識別可能資産と識別不可能なのれんのことを言います。
無形資産に関連する経済的便益が企業に流入する可能性が高く、原価を信頼性をもって測定することができる場合、その実際原価を無形資産に計上することとなります。
②会計上の減価償却
新会計準則においては、特許権や著作権など契約上の権利である場合は通常契約期間が明確であるため、原則契約期間を超えない耐用年数を設定し、定額法や生産高比例法などの経済的便益の予想される実現形態を反映した合理的な償却方法により償却することとされています。
毎年年度末に無形資産の耐用年数および償却方法について再検討し、これまでの見積もりと差異が生じている場合は新しい見積もりに応じて耐用年数および償却方法を変更しなければなりません。
のれんなど契約上の権利以外の無形資産で耐用年数を合理的に見積もることが難しい場合は、償却してはならないこととされています。
③税務上の減価償却
税務上は契約期間が明確に決まっているなど耐用年数が確定している場合はその耐用年数を用い、耐用年数が明確でない場合は10年以上の期間で定額法により償却することが求められています。
減損
固定資産の市場価格と比べて著しく低下していたり、陳腐化、破損するなど、一定の減損の兆候が見られる状況で、回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は会計上評価損を認識する必要があります。
旧会計制度では回収可能価額が回復した場合減損損失の戻入れを行いますが、新会計準則においては戻し入れることは認められません。
税務上は原則減損損失の損金算入は認められないこととされています。
参考規定:「企業の固定資産の加速度償却の税務処理に関する問題の通知」(国税発[2009]第81号)
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