中国 交際費、福利厚生費などの経費は損金計上できるか?

 

中国で経営活動に通常必要となる経費支出ですが、以下の通り項目ごとに税務上の損金算入限度額が決まっています。
 
 

交際費

まずは交際費ですが、交際費は原則年度売上高の0.5%を上限に、発生した交際費額の60%までの損金算入が認められます。
 
中国では社外で行う打ち合わせや商談については会議費として損金処理することも一般的ですが、交際費と会議費について規定上明確な区分はありません。
そのため、会議費としての処理を否認された場合は交際費として損金算入限度額を超過してしまう可能性があるため、会議の議題や出席者、議事録などを残し、一定の運用ルールの元で分類、経費処理を行うことが望ましいと言えます。
 
 
 

広告宣伝費

広告宣伝費は営業外収入を除く売上高の15%を上限として損金算入が認められ、超過した場合は翌年度に繰り越すことが可能です。
化粧品製造・販売、医薬品製造、飲料(酒類除く)製造企業では売り上げの30%まで認められます。
 
 
 

人件費・給与

給与や社会保険料は税務上損金となります。
ただし福利厚生費、労働組合費(工会費)、従業員教育費は賃金給与総額のそれぞれ14%、2%、8%を上限として損金算入が認められます。

なお、上記の福利厚生費等の損金算入限度額を計算する上での賃金給与総額にはいわゆる 「五険一金」(養老保険、医療保険、失業保険、労災保険、出産(生育、育児)保険、住宅積立金)は含まれないものとされています。

以前は日本人駐在員の従業員に占める割合が多い日系企業において、給与として処理している駐在員の家賃手当などについて福利厚生費に分類され、14%の超過分を追徴されるケースもありましたが、現在では一定の要件を満たす福利性手当は「賃金給与」とみなし、合理的な金額の範囲内であればその支出額の全額が損金算入できる旨が明確にされています。

 
 
 

寄付金

寄付金は年度利益総額の12%を上限に損金算入が認められます。
ただし、その場合も公益性社会団体、省レベル以上の政府部門を通じて支出する寄付金に限られます。
 
 
 

コミッション・仲介手数料

コミッション・仲介手数料の損金算入限度額は保険会社を除き、取引額の5%とされています。
さらに、支払いは振込によること、相手方は営業許可を有する企業であることという要件があるため、個人に対して手渡しによるコミッションの支払いは損金算入が認められないこととなります。
 
日系企業では税務上の損金性を検討せず当事者間の契約によってコミッションの料率を設定することがよく見られます。
例えば出向者の賃貸住宅を不動産仲介会社から紹介され、1年契約で仲介手数料を1月分払った場合なども厳密には5%を超えていますので否認されるリスクがある点に注意が必要です。
 
 
 
 

貸倒引当金

中国の会計上、貸倒引当金は期末時点で未収債権の回収可能性を検討し、回収可能額が簿価を下回る場合は回収不能部分に対する引当金を計上する必要があります。
旧会計制度では貸倒引当金の計上基準について明確な規定がなく、貸倒引当金を計上するには税務局の認可が必要でしたが、現在の新会計準則においては金融資産の減損として債権のグルーピングを行なった上でグルーピングに応じて一定の計算方法を継続適用することで算出した貸倒引当金を計上することとなります。
 
一方税務上は金融業など特定の業種以外は貸倒引当金の損金算入は認められず、加算調整が必要となります。
 
貸倒れが確定すれば、下記の条件のいずれかを満たした段階で損失計上が認められます。

ただしこれらの条件を満たしていることを客観的に証明する資料が必要になります。

 

  • 債務者が破産、閉鎖、解散、撤退を宣言した場合、または法により登記が抹消され、営業許可証を取り消され、清算財産が弁済額に対して不足している場合
  • 債務者が死亡した場合、または法により失踪、死亡が宣告され、その財産または遺産が弁済額に対して不足している場合
  • 弁済期限を3年以上超過し、かつ返済不能が確実に証明される場合
  • 債務者と債務再編協議により合意、または人民法院が破産再修正計画を批准した場合で、その弁済できない部分
  • 自然災害、戦争等の不可抗力によって回収できなくなった場合
  • 国務院の財政部、税務主管部門が定めたその他の場合
 
 
 

管理費

中国の税法上は会社間の管理費の支払いは損金算入が認められません。
 
そのため名目上はサービスの対価の支払いであっても、独立取引の原則に従って、直接または間接に経済的利益をもたらすものでなければ管理費として損金算入を否認されることとなります。
 
 
 
 
 

参考規定:新企業会計準則、企業所得税実施条例、「給与・福利費の損金算入問題に関する公告」(国税総局公告[2015]第34号)「金融業貸付金の貸倒引当金繰入の税前控除政策に関する通知」(財税[2012]第5号)、「企業資産損失の税前控除政策に関する通知」(財税[2009]第57号)、「企業資産損失の税前控除管理弁法」(国税総局公告[2011]第25号)、「企業の手数料およびコミッションの資産損失の税前控除政策に関する通知」(財税[2009]第29号)

 
 
 
 
 
 
 
 

【中国ビジネス顧問サービスのご案内】

弊社の中国ビジネス顧問サービスでは、足の早い中国の法規制のアップデートに迅速に対応するため、法改正の情報等をタイムリーにご提供するとともに、各種のご相談に対応させていただきます。
また、ご要望に応じて特定業種の情報に特化して収集、アドバイスすることも可能です。
 
弊社の中国ビジネス顧問サービスへのお問い合わせは、こちらからお願いいたします。