中国 新個人所得税法の実施条例等が公布!
翌年1月1日からの改正後新個人所得税法の本適用に際し、一連の細則規定が公布されました。
新しい実施条例においては、これまで居住期間が満5年を超えなければ国外所得について課税が免除された通称5年ルールについて、中国滞在日数が累計183日を超える年度が連続して満6年以下であれば納税を免除する旨が明記され、引き続き有効かつ5年→6年へと変更されました。
ただし、同時に主管税務局への届出が要求されています。
また、一時出国により5年ルールを何度もリセットする方法については、1年度中に連続して30日を超える出国をした場合は連続居住年数の計算がリセットされる旨が条文に明記されることにより引き続き有効であることが明確になりました。
ただし、これまでは連続しない出国でも1年度内累計で90日を超える場合、同様に計算がリセットされましたが、これは新条例においては廃止されています。
「居住期間5年を超えるとどう変わる? 中国個人所得税の実務シリーズ④」
「個人所得税法実施条例」(国令第707号)
新しい追加控除暫定弁法において、追加控除項目の内容は10月20日に公開された草案と比較して大きな変更はないものの、その範囲や上限金額が調整されるなど、細かい部分の修正が加えられているため、翌年以降の申告実務に際しては注意が必要です。
さらに、公開草案では外国人は新設された追加控除項目ではなく、現行の優遇措置を継続して選択適用できるとされていた条文が本弁法では削除されています。
これにより、今のところ公布されている改正後の個人所得税法に関する諸規定においては、外国人に対する優遇措置の根拠条文が無くなってしまったことになり、現状では外国人の優遇措置が廃止されたと解釈せざるを得ません。
その場合外国人出向者の所得税については大幅な増税となることが予想されますので、これについては早急に影響額を試算し対応を検討する必要があります。
「個人所得税追加控除暫定弁法の通知」(国発[2018]第41号)
また、以前のコラムにて記載しておりました新法施行以降の源泉徴収額の計算方法ですが、当初の想定通り累計源泉徴収法が適用されることが明確になりました。
これは毎月その時点での累計所得額に応じて適用税率を決定するため、適用税率が年度を通じて段階的に高くなっていく方法であり、上述した外国人の優遇措置の廃止も伴って、外国人出向者のグロスアップ計算を含む申告実務が格段に煩雑になることが予想されます。
「新個人所得税全面実施についての徴収管理に関する問題の公告」(国税[2018]第56号)
その他の新個人所得税法に関連する諸規定は以下の通り。
「自然人納税識別番号に関する事項の公告」(国税[2018]第59号)
「個人所得税追加控除操作弁法(試行)発布に関する公告」(国税[2018]第60号)
「個人所得税源泉徴収電報管理弁法(試行)発布に関する公告」(国税[2018]第61号)
「個人所得税自己納税電報に関する問題の公告」(国税[2018]第62号)