中国 新個人所得税法での毎月の源泉徴収方法は?

 

2019年1月1日からの改正後新個人所得税法の本施行に向けて、中国の各地の税務局では内部研修が行なわれている状況です。
 
現時点でまだ明確に定まっていない幾つかのトピックについては議論がありますが、その中で来年からの毎月の所得税源泉徴収額の計算方法については、新個人所得税法では国務院税務主管部門が別途制定する旨規定されています。
 
源泉徴収の具体的な方法は今後の通達の公布が待たれますが、現在税務局内部で概ねコンセンサスが取られている方法は累計源泉徴収法と呼ばれるものです。
 
これは特定月の源泉徴収額の計算において、年初から当月までの累計所得額から累計免税額、累計控除額を差し引いた金額を累計課税所得額とし、これに年間所得税率を適用して累計源泉徴収額を算出した上で、前月までの源泉徴収額を差し引いて当月の源泉徴収額を計算するという方法です。
 
この方法のポイントはその時点での累計課税所得額をそのまま年間税率表に当てはめて適用税率を決定するので、年初から毎月累計課税所得額が増加するのに伴い、適用税率が段階的に高くなっていく点です。
 
つまり仮に毎月の課税所得額が3万元と仮定すると、年間トータルでの課税所得額36万元に適用される税率は25%ですが、年初の1月の所得税率は3万元に対する3%となります。
 
これは従業員にとっては年間の納税支出を年度後半に極端に繰り延べられるという点でキャッシュフローが改善し、また税務当局にとっても年度確定申告における還付手続きを最小に抑えることができるという点で税務行政の円滑化という点では一定のメリットがあります。
 
ただし、従業員の年前半のキャッシュフローが改善する一方で1月と12月で極端に手取りの金額が異なるというのは、体感的には年間を通じて毎月給与が下がっていくような印象があり、また翌年の1月に大きく増加するという少し不自然な収入体系を強いられることになります。
 
この点を解消するには、これまでのような毎月同額の給与ではなく、給与額自体も税率のスライドに合わせて年初から毎月増額していくような特別なアレンジメントが必要となります。
 
また、社内の担当部署においてはこれまでと異なり毎月税率を見直す必要が生じるため、毎月の源泉徴収事務手続きが増加することが予想され、加えて外国人出向者については毎月の手取額から逆算して税額を計算するグロスアップの方式が採用されていることから更に手続きが煩雑化するものと思われます。
 
上記の計算方法についてはまだ確定ではありませんが、すでに北京や広州などの一部の都市ではこの方法に基づいた公開説明会が実施されています。
 

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2019年1月からの新個人所得税法施行に向け、日系企業の皆様におかれましては中国人、日本人出向者ともにこれまでの所得税申告業務のプロセスを見直し、適正な納税を担保するための体制を整えておく必要がございます。
中国人の申告においては、これまで比較的シンプルであった基礎控除の他、各種の特別控除項目が規定され、源泉徴収義務者として従業員からのより広範な情報収集が必要となります。
出向者の申告においては、依然不明確な点も多く、引き続き動向を注視しながらタイムリーな情報のアップデートとその迅速な対応、及び専門的な判断が必要となる場面が想定されます。
 
モンドパルコンサルティングでは、上記の新法適用に向け、その対策をはじめとする中国個人所得税各種コンサルティング、コンプライアンス業務のサポートを提供しております。
 
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