中国 未控除の仮払増値税の還付が可能となる新規定が公布

 

2018年6月27日に「特定業種の増値税未控除額の2018年還付に関する政策の通知」(財税201870号)が公布され、特定の業種について期末に未控除となっている仮払増値税の還付が認められました。

今年度に入ってから立て続けに公布されている一連の減税施策の一つとなります。

 

背景

現行の増値税に関する規定によると、期中に控除ができなかった仕入増値税額は無期限に繰り越すことが認められるものの、輸出の場合その他の一部の例外を除いて還付は認められませんでした。

そのため、初期の設備投資が比較的多額に上る業種や販売サイクルが長期化する業種、また一般納税人に適用される増値税率が6%、10%、16%の3種類あることから仕入に適用される税率よりも売上に適用される税率の方が低い業種などにおいて、仮払いしている仕入増値税が売上増値税から控除できず、滞留してしまうというケースがよく見られました。

未控除のまま滞留している仮払増値税は、仮に会社が清算する際になっても現行規定では還付されることがないため実質的に企業の負担となっていて、本来付加価値税として最終消費者が負担すべきであるという増値税の基本的な仕組みに反しており、設備投資の回収が長期化する製造企業にとっては新規投資に対する逆のインセンティブが働くため国の政策とも整合性が取れていないといった問題点が指摘されていました。

 

対象業種

財税201870号において対象となる業種は設備製造等を行う先進製造業、研究開発等を行う現代サービス業及び電力企業です。

設備製造等を行う先進製造業、研究開発等を行う現代サービス業は、次世代情報技術、高性能NC制御工作機械・ロボット、航空宇宙用設備、海洋工程設備及びハイテク船舶、先進的軌道交通設備、省エネルギー・新エネルギー自動車、電力設備、農業設備、新素材、バイオ医療といった「中国製造2025」における10代産業やハイテク企業、技術先進型サービス企業、研究開発型中小企業に該当する企業に優先的に適用することとされています。

 

適用条件

納税人信用等級がAランクまたはBランクであること。

 

計算方法

還付額の計算方法は前期末の未控除増値税額に一定の還付比率を乗じて、17年度末の未控除増値税額を上限として計算されます。

 

(増値税の仕組みはこちら

 

 

 

参考規定:増値税暫定条例、「特定業種の増値税未控除額の2018年還付に関する政策の通知」(財税201870号)

 

 

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