中国子会社から日本への送金手続きと課税関係まとめ
中国子会社から日本への送金について、各送金名目ごとに手続きと課税関係をまとめました。
貨物貿易取引(物品輸入) | サービスフィー(役務対価) | 国内販売コミッション | 輸出入取引コミッション | 技術ロイヤリティ | 商標・特許ロイヤリティ | 出向者給与立替金 | 経費立替金 | 配当金 | 支払利息 | |
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手続き(5万USD超) | 送金 | 契約締結後30日以内に登記 → 納税判定 → 納税 → 税務届出 → 送金 |
契約締結後30日以内に登記→ 納税判定 → 納税 → 税務届出 → 送金 |
送金 | 契約締結後30日以内に登記 → 納税 → 税務届出 → 送金 |
契約締結後30日以内に登記 → 納税 → 税務届出 → 送金 |
税務届出 → 送金 | 送金 | 董事会・株主会決議 → 納税 → 税務届出 → 送金 |
契約締結後30日以内に登記 → 納税 → 税務届出 → 送金 |
手続き(5万USD以下) | 送金 | 送金 | 送金 | 契約締結後30日以内に登記 → 納税 → 送金 |
契約締結後30日以内に登記 → 納税 → 送金 |
送金 | 送金 | 董事会・株主会決議→ 納税 → 送金 |
契約締結後30日以内に登記→ 納税 → 送金 |
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中国課税(PEなし) | ・消費税もしくは 増値税11、17% ・関税 |
増値税6~17% | 非課税 | 非課税 | ・企業所得税10% ・増値税6% (技術移転/技術開発に関わるものは免税) |
・企業所得税10% ・増値税6% | 非課税 | 非課税 | 企業所得税10% | ・企業所得税10% ・増値税6% |
中国課税(PEあり) |
・PEに実質的に関連する所得は事業所得として、15~50%の推定利益に対し25%の企業所得税課税 ・増値税6~17% ・増値税6~17% ・PEに関連する出張者は中国滞在期間の個人所得税課税(短期滞在者免税適用不可) |
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日本課税 | 外国税額控除(10%) | 外国税額控除(20%) (日中租税条約によるみなし税額控除) |
受取配当金の益金不算入 | 外国税額控除(10%) |
物品輸入以外で5万USD超の対外送金は原則地域所管の税務局において対外支払いの届出をし、送金時に届出表を銀行に提出する必要があります。一方輸出入取引のコミッションや国外で発生した経費を送金する場合など一部の項目については届出が不要である旨規定されています。
経費の本社立替分の精算のための送金については、経費の送金に該当するため原則届出は不要ですが、出向者給与の本社立替分の送金については税務届出が必要となります。
届出の際にPE課税の問題に発展しやすいため、注意が必要です。
(中国でのPE課税についてはこちら)
本社に支払う販売コミッションについては、本来サービスフィーに含まれるので企業所得税は非課税ですが、ロイヤリティの一種とみなされるリスクも非常に高いといえます。その他日本から出張者が来て営業活動をされている場合はPEと認定され課税される可能性もあります。
本来は2013年9月1日から税務局での納税判定の上で納税証明を取得するプロセスが廃止されましたが、このような課税関係の把握のため、地域によっては実務上いまだに届出の前に納税判定が求められているケースもあるようです。その結果不当に課税扱いとなっているケースもあり、また企業のご担当者の方でも以前からの処理を引き継いだままサービスフィーの送金は源泉徴収した上で送金するのが当たり前だと思われている方もよくお見受けしますので、課税根拠やプロセスについて正確に理解しておくことが必要です。
参考規定:『国家税務総局・国家外貨管理局によるサービス貿易等項目の対外支払税務届出の関連問題に関する公告』(2013年9月1日実施)、「新企業所得税法」、日中租税条約、「非居住企業所得税源泉徴収管理暫定弁法」、増値税暫定条例、「営改増試験実施弁法」(財税[2016]36号)、「増値税税率の簡素化・統合に関する通知」(財税[2017]37号)、「サービス貿易外貨管理ガイドライン実施細則」(匯発[2013]第30号)、「貨物貿易外貨管理制度改革の公告」 (国家外貨管理局公告2012年第1号)、「貨物貿易外貨管理法規に関する問題の通知」 (匯発[2012]38号)
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