2019年の重点税務調査対象4業種とは?

 

4月に行われた国家税務総局による新聞発布会において、減税政策の状況等の説明がされるとともに、最近の脱税や課税逃れの摘発に対する成果が公開されました。
 
19年第一四半期において脱税や偽発票の発行が疑われる企業2.69万社に対して調査を行い、偽の発票として認定されたものは59.96万枚、それに対応する税額は128億元に及び、その他輸出税還付の詐取による税損失は11億元となりました。
この調査に関連して1422人が逮捕され、それ以外に293人は自首したとのことです。
 
最近の傾向としては、1)税務局は連携して調査にあたることにより検挙率が増加している、2)犯罪チームの分布範囲が広がり人数が増加している、3)脱税や偽発票の金額が更に増えている、という3点が挙げられています。
 
更に、これまでも特別な税務リスクが存在するとされていた以下の4業界について、2019年も引き続き重点的に専門調査を行うこととされています。
 

・中古品関連業界:税収政策の変化により税負担増

2000年および2008年において中古品リサイクル業者に対する中古品売上の増値税免税政策が廃止されたことに伴い、関連業界全体において税負担が増加しました。
 

・医薬品業界:仕入・販売時の偽発票リスク

中国における医薬品業界のサプライチェーンは架空仕入・架空販売、販売リベートの授受、名義貸しなどの問題が常態化しており、医薬品が生成され、流通するまでの各段階でこの問題が積み上がっていきます。
医薬品業界に従事する貿易業者が正当なライセンスを持たずに別の会社の名義を借りて営業活動を行ったり、製薬メーカーはいわゆる隠れたコストが高く、製造原価や販売費の他に入札時の交際費、病院への交際費、医師へのリベートが加わりますが、通常これらの隠れたコストは損金計上できないため、購買時に原材料として農産品の発票を購入したりすることにより仕入控除額を増やしているケースが見られます。
 

・貿易業界:虚偽輸出による課税逃れ

貿易業においては虚偽の売買契約書の作成、偽造または改ざんされた輸出貨物税関申告書、外貨受取照合書、輸出貨物専用納付書、偽の増値税専用発票の取得といった手段により虚偽の輸出取引を講じることにより輸出増値税の不正な還付を取得するケースがよく見られます。
 

・石油化学業界:商品名称変更販売による課税逃れ

石油化学製品のサプライチェーンは広範な範囲に及び、何千といった製品数に上ります。中国では石油製品は消費税が課されますが、その課税範囲や処理が複雑であることを利用し、石油化学メーカーはその商流に子会社の商社などを介在させ、実質的に同一の製品を仕入れ、販売する場合であっても製品の名称のみを変更、例えば原油を購入し重油を販売したことにする、などの方法で消費税課税製品と非課税製品を組み合わせ、課税逃れを行っていることが以前から指摘されています。

 

 

 

 

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