中国の新個人所得税法 5年ルールは継続見込み

 

先日のコラムにて2019年1月1日(一部については2018年10月1日)より施行される中国の改正後新個人所得税法について解説しました。
 
 
その中で、これまで居住期間が満5年を超えなければ国外所得について課税が免除された通称5年ルールについては、今回の全人代の審議で言及されておらず、これも今後の実施条例の改正を待って判断することとなると記載しています。
 
この点、弊社で入手した現在税務局内部で実施されている新法施行に伴う内部研修にて使用されている研修資料の中で5年ルールについての言及がありましたので、差し支えのない範囲でご紹介します。
 
この研修資料によると所得税法改正後も外国人に関して実施条例で規定する以下の2つの優遇措置については引き続き有効であると明記されています。
 
・1納税年度において中国での滞在日数が90日を超えない場合、給与が国外の会社から支払われかつ負担されている限り納税を免除する。
 
・中国での居住期間が満1年以上5年以下の外国人は中国国外で支払われた国外源泉所得について課税されない。
 
上記の2点目は5年ルールに関するものですが、正式に法令として公布されたものではないものの、税務局内部で実際に利用されている非公開資料であることから5年ルールが新法施行後も有効であることはほとんど確定していると言えそうです。
 
ただし、上記のコラムでも記載した通り、新法では年間183日以上居住している個人は居住者と見なされる183日ルールが国内法として明記された以上、一時出国により5年ルールを何度もリセットする方法は困難になると思われます。
 
今後中国での長期居住を予定している駐在員の方は注意が必要です。

 

 

 
 
 
2019年1月からの新個人所得税法施行、また18年10月からの一部先行適用に向け、日系企業の皆様におかれましては中国人、日本人出向者ともにこれまでの所得税申告業務のプロセスを見直し、適正な納税を担保するための体制を整えておく必要がございます。
中国人の申告においては、これまで比較的シンプルであった基礎控除の他、各種の特別控除項目が規定され、源泉徴収義務者として従業員からのより広範な情報収集が必要となります。
出向者の申告においては、依然不明確な点も多く、引き続き動向を注視しながらタイムリーな情報のアップデートとその迅速な対応、及び専門的な判断が必要となる場面が想定されます。
 
モンドパルコンサルティングでは、上記の新法適用に向け、その対策をはじめとする中国個人所得税各種コンサルティング、コンプライアンス業務のサポートを提供しております。
 
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