香港の会計及び監査制度の概要

会計制度

香港では、日本の会社法に相当する会社条例(Company Ordinance)において基本的な会計制度が規定されています。

会計帳簿の保管

    全ての香港法人はその残高及び取引を真実かつ公正に記録した正確な帳簿を作成し、期末後最低7年間は保管する必要があります。

会計期間

    設立初年度のみ、会計期間は設立後18ヶ月を超えない範囲で決定し、それ以降の年度は原則1年毎の決算となります。

 

会計基準

現在、香港では香港財務報告基準(HKFRSs)という会計基準を採用しています。
これは現在100を超える国で使用されている国際財務報告基準(IFRSs)という基準をほぼ踏襲したものになっており、日本の会計基準との大きな違いは「原則主義」の考え方をベースとして、基準の中では基本的な原則のみを定め、その適用に際しては原則に則ってケースバイケースで判断が求められる点です。

 

更に香港財務報告基準(HKFRSs)は香港財務報告基準「等」であり、香港財務報告基準(HKFRS)と香港会計基準(HKAS)、及びその解釈指針(Interpretation)によって構成されています。
また、非公開の中小企業はHKFRS for Private Entitiesと呼ばれる中小企業版国際財務報告基準(IFRS for SMEs)とほぼ同一の基準を適用できるほか、持株会社や子会社でないことや規模などの点から幾つかの条件を満たせば香港独自の中小企業財務報告基準(SME-FRF&SME-FRS)という基準も適用でき、財務諸表や監査報告書において簡易的な形式を用いることが認められます。

 

監査制度

香港では日本と異なり、毎年全ての会社が香港の公認会計士による会計監査を受けることが義務付けられています。
また香港は中国投資のゲートウェイとしての役割も担ってきたことから中国に子会社を持つ香港法人は多数ありますが、子会社を有する場合は原則として連結財務諸表の作成が必要になります。
しかしながら、連結していない場合でも監査意見に限定がつくこと以外に特に罰則規定がないことから、香港法人は連結財務諸表を作成せずに日本の本社で連結するという実務も多く見られます。

会社設立後の初年度の監査をいつまでに実施する必要があるかという点については、香港の会社条例(Company Ordinance)に初年度の監査対象期間は18ヶ月を超えてはならないと規定されており、また税務局からも設立後18ヶ月前後で税務申告書が発行され、発行後は1月以内に申告する必要があることから、少なくとも設立後18ヶ月以内に初年度監査を実施しておく必要があります。