コロナ禍の中国リモート進出、法人設立時の留意点を解説!

 

現在中国では新型コロナのオミクロン株の感染が拡大しており、日本から中国への渡航が中々しづらい状況が続いています。
その中でリモートで中国に会社を設立することが可能か、といったお問合せを受けることがあります。
以前は中国に会社を設立する際は代表者の方が出張で何度か渡航され、必要な手続きに同行いただくことが普通でしたが、現在のコロナ禍では一度も渡航せずに会社を設立することができるようになっています。
 
以下ではリモートでの中国法人設立に際しての5つの留意点についてご紹介いたします。
 

①書類の郵送に時間がかかる

まず中国での会社設立にあたって最初に必要となる手続きが会社名の仮登録です。
これは現在名称登録システムによって審査、承認が完結する仕組みとなっており、オンライン手続きとなります。
会社名の仮登録が完了すると、設立登記申請書類や定款などの必要書類に署名して原本を管轄当局の窓口で提出する必要があります。
現在は新型コロナによるロックダウンや移動制限がされている都市では物流も制限されることが多く、日本から発送した書類が中々届かない、といった問題が生じています。
そもそもロックダウンにより当局窓口が閉鎖されてしまうと申請自体がスタックしてしまいますが、ロックダウンが解除されてから国際輸送業務がどの程度で正常化するかという点もスケジュール管理上重要となります。
 

②銀行口座の法定代表確認

会社の設立登記が完了すると、銀行にて法人口座を開設します。
その際、通常は銀行の支店窓口で新設会社の法定代表者の本人確認が必要となります。
一部の銀行ではビデオ通話で当面の審査を進めてくれたり、日本国内に支店を有する中国系銀行では日本国内支店での本人確認手続きにより、法定代表が渡航しない状態での開設を認めてくれています。
ただし、銀行によって対応が異なりますので、開設を希望される銀行での事前確認が推奨されます。
一方で、口座開設が難なく完了した場合でも、オンラインバンキングを使う際に必要となるセキュリティデバイスを日本に郵送できない、という問題が生じることがあります。セキュリティデバイスは中国からの輸送禁止貨物に指定されているためです。
 

③バーチャルオフィスでの登記は可能?

中国の法令上は物理的なオフィスが求められますが、実務的にはバーチャルオフィスで設立、維持されている外資系企業も多いようです。
その場合、日本と同様に中国にもシェアオフィスやコワーキングスペースは数多くありますので、こうした施設から登記用の住所を月額費用を払って借りることになります。
銀行口座開設時には銀行によるオフィスの立入検査があり、シェアオフィスの住所の場合デスクや個室が無い形態では認められないこともあります。銀行によっては、完全にバーチャルオフィスの企業の場合は記帳を代行する会計事務所のオフィスのチェックで対応してくれる銀行もあります。

 

④税務局の窓口手続き

税務局での登記手続きもほぼオンラインで行うことができ、簡素化が進んでいますが、登記所在地域によって実名認証と呼ばれる新設企業の代表者が税務局の窓口で行う手続きが必要となる場合があります。
例えば上海市では区によって発票(領収書)1枚当たりの上限金額が1万元までであれば実名認証手続きは不要、それを10万元に増額する際に実名認証が必要になる、といった制限の違いがある場合もありますので、この点も登記予定地の管轄税務局にて予め確認をしておく必要があります。

 

⑤従業員の雇用は必要?

リモートでの法人設立を進められる場合、採用面接を対面でできないこともあり、設立当初に現地スタッフを雇用されないケースも見受けられます。
法令上厳密には経理業務を外注する場合でも最低1名の出納担当者を自社で雇用することが求められていますが、実際はそれほど咎められることはないようです。
ただし、新設会社の機能が完全にオンラインで完結する場合でない限りは、現地で発生する諸手続きの便宜から考えて最低1名のスタッフは雇用された方がいいものと思われます。
 

 

以上がコロナ禍で日本からリモートにより中国法人の設立手続きを進めざるを得ない場合の留意点となります。
コロナ対策による入国制限が続く中で手続きを進められるご担当者様のご参考になれば幸いです。
 
 
 
 

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