個人所得税特別控除項目の調査が開始!
19年1月1日からの新個人所得税法施行以降、7カ月で5,639億人民元近くの減税が達成されています。
一方で新しい特別控除項目について虚偽の申告をすることによる税逃れも頻発しており、先日上海、天津、広州、深セン、青島などを含む多数の都市の地方税務局により特別控除項目の調査を開始する旨が公布されました。
具体的な調査の方法は一定割合のサンプルチェックで、アメリカなどの調査実務を参考に納税者のおよそ20%程度を想定しているようです。
また、各関連当局からの情報収集も強化されています。
・公安部門:戸籍登録者の基本情報、世帯人員構成、出入国証書情報、出国情報、死亡情報等
・衛生健康部門:出生診断書や一人っ子の情報
・民政部門、外交部門、裁判所:婚姻状況の情報
・教育部門:学生の登録情報、海外の教育機関資格の情報
・人力資源社会保険等部門:専門学校学生の登録情報、技術人材職業資格継続教育情報、専門技術人材職業資格継続教育情報
・住宅都市農村建設部門:住宅賃貸情報、住宅積立金の貸借及び支出に関する情報
・自然資源部門:不動産登記情報
・人民銀行、金融監督管理部門:住宅ローンや商業ローンに関する情報
・医療保障部門:医療保障システムに登録されている個人負担の医療費情報
これらの情報について各関連部門は情報提供の責任者を定め、対応することが求められています。
調査により虚偽申告が発覚した場合、税務局は是正を命じた上で、源泉徴収義務者に通知することとなります。
虚偽が深刻である場合、信用情報システムに反映され、共同処罰となりますが、信用情報が毀損すると飛行機や列車の利用制限、ホテルやゴルフ場の利用制限、不動産の購入制限、子女の私立学校への入学制限、出国制限、国有地の使用制限、税関ランクの引き下げ、一部業種の高級管理職の従事制限など様々な不利益を被ることとなりますので注意が必要です。
現在各従業員の特別控除項目は携帯のAPPからも登録できるようになっており、従業員が更新した項目は企業の個人所得税申告システムに適宜反映されるようになっています。
一方、夫婦でそれぞれAPPから情報を更新する場合などシステム上コンフリクトが生じる場合がありますので、企業のご担当者様は必ず各従業員の正確な特別控除項目の内容を把握した上で源泉徴収、申告を行っていただければと思います。
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