増値税減税 10%加算控除の計算方法は?

 

2019年4月1日からの増値税率の減税に加え、特定の業種に該当する企業は仕入増値税の10%加算控除が認められることとなりました。
 
 
これについてあまり周知されておらず、適用されている会社が少ないようですので以下に詳細をご紹介いたします。
 

1.適用が認められる会社とは?

10%加算控除の適用が認められる会社は、郵政サービス、電信サービス、現代サービス、生活サービスを提供している会社で、その割合が全体の売り上げの内50%を超えている会社です。
 
2019年3月31日以前に設立された場合は、2018年4月~2019年3月の期間の売上高(経営期間が12カ月未満の場合は、実際の経営期間の売上額)を元に計算し、上記に合致していれば2019年4月1日から適用できます。
2019年4月1日以後に設立された場合は、設立後3カ月間の売上高を元に計算します。
 
ここで、それぞれの業種の具体的な業務範囲ですが、郵政サービスは中国郵政グループの会社に限定され、電信サービスは基礎電信サービスと付加価値電信サービスを含みますが、いずれも外資規制があるため該当する日系企業は多くないと思われます。
 
一方現代サービスは研究開発と技術サービス、情報技術サービス、文化研究開発および技術、情報技術、 文化クリエイティブ、物流補助、リ ース、検証・コンサルティング、ラジオ・テレビ、商務補助およびその他の現代サービス、生活サービスは文化体育、教育医療、観光娯楽、 飲食宿泊、住民日常サービスおよびその他の生活サービスと広範な範囲に及び、こちらについては多数の日系企業も該当するものと思われます。
 
ただし、以前下記のコラムにて解説したサービス取引の増値税免税制度と同様に、自社のサービスがどれに該当するかという点は解釈の余地が大きく、地域によっても取扱いが異なりますので注意が必要です。
 
 
 

2.仕入増値税額の加算控除とは?

増値税額の計算は原則として売上増値税額から仕入増値税額を控除することによって算出します。
 
 
仕入増値税額の加算控除とは、上記の売上税額から控除できる税額を10%加算することにより、納税額を減らすことのできる減税政策です。
 
例えば一月のサービス売上が1,000万元、その内クロスボーダーの輸出が200万元、それ以外の国内売上が800万元とします。
また、一月の費用が800万元でその内人件費などを除いた仕入控除対象の増値税課税費用が500万元、さらにそれらの内輸出売上に対応するものが100万元、国内売上に対応するものが400万元とします。
 
仮にクロスボーダーの輸出サービスについては増値税免税が認められており、売上、費用に対する増値税率が全て6%であると仮定すると、一月の増値税申告納税額は売上増値税額800万元×6%=48万元からそれに対応する仕入増値税額400万元×6%=24万元を控除した24万元となります。
免税売上に対応する仕入増値税100万元×6%=6万元は控除できませんので、増値税の実質負担額は24万元+6万元=30万元です。
 
ここで、10%の加算控除が認められる場合はどのような計算になるのでしょうか?
 
国内売上に対応する仕入増値税額は、24万元に加えてその10%の2.4万元が追加で控除できることとなりますので、増値税納税額は48万元ー24万元ー2.4万元=21.6万元です。
クロスボーダー免税輸出に対応する仕入税額はこの場合も加算控除は認められませんので、増値税実質負担額は21.6万元+6万元の27.6万元となり、実質的な減税額は10%の加算控除分となります。
 
ただし、上記の通り輸出に対応する仕入増値税額は加算控除の対象となりませんが、郵政サービス、電信サービス、現代サービス、生活サービス以外のサービスの売上に対応する仕入増値税は対象となります。
 
つまり、上記4つのサービスの売上割合が50%を超えていると加算控除が適用できますが、その対象は4つのサービスの売上に対応する仕入増値税に限らず、それ以外の仕入増値税も加算控除の対象となるということです。
 
また、仕入増値税額の加算分を当期に控除しきれない場合は、翌期に繰り延べることができます。
 
 

3.加算控除の対象期間は?

2019年4月1日から2021年12月31日までとなります。
 
 
 
 
参考規定:「増値税改革の深化に関する政策の公告」第7条(財政部税務総局税関総署公告[2019]第39号)

 

 

 

 

 

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