よくある5つの取引事例の計算方法を解説!ビットコイン(仮想通貨)の確定申告シリーズ②(基礎編)

ここでは、ビットコインを含む仮想通貨の確定申告にあたって、どのように売買所得を計算するのかを基本的なケースを元に解説していきます。
 
まず、所得計算において大事なことは正確な取得価額を計算するということです。
仮想通貨売買による収入は仮想通貨を売った時に入ってきたお金ですので、これは足し合わせるだけの単純なものですが、その売った分に対応する買った分の価格が計算方法によって異なるという点がポイントです。
 
それでは、以下のような5つのパターンについて計算してみましょう。
なお、以下では移動平均法をベースとして各売却取引時点での取得価額を計算しており、ビットコインはBTC、ビットコインキャッシュはBCHと表記しています。
 
 

基本パターン① 複数回の買いパターン

基本パターン① 複数回の買いパターン
 
まず、複数回買って、その後に売るパターンです。
4月1日と5月1日にそれぞれ5BTCずつ買っています。
それぞれ購入単価が違いますので、購入金額を足し合わせて平均取得単価を計算する必要があります。
その後6月1日の売却では、平均取得単価に基づいて売却原価を計算します。
このケースでは取得単価12万円で5BTCを売却し、売却金額は130万円ですので、差額70万円が利益になります。
 

基本パターン② その後更に買って売るパターン

基本パターン② その後更に買って売るパターン
 
続いて、その後更に買って売るパターンです。
パターン①で5BTCを売り、手元に5BTCが残っていたところ、7月1日に更に1BTC=27万円で10BTC買い増しています。
ここでの取得単価は、新しく買い増した金額270万円と手元の5BTCの取得残高(12万円×5BTC)を足して、現時点での総保有残高15BTCで割ることにより計算します。
ここでは、1BTCあたり22万円となりました。
7月31日に保有残高のうち、6BTCを186万円で売却しましたので、6BTC分の売却原価(22万円×6BTC)との差額54万円が利益額となります。
 

基本パターン③ その後ハードフォークによりビットコイン(BTC)残高に対してビットコインキャッシュ(BCH)が付与

基本パターン③ その後ハードフォークによりビットコイン(BTC)残高に対してビットコインキャッシュ(BCH)が付与
 
基本パターンの3つ目はハードフォークのケースです。
国税庁のタックスアンサーによると、ハードフォークによって新しい仮想通貨が付与された場合は、取得価額はゼロとして評価することになっています。
そのため、保有する9BTCに対して付与された9BCHの取得価額はゼロで、この時点で損益は発生しません。
 

基本パターン④ その後ビックカメラでテレビ購入

基本パターン④ その後ビックカメラでテレビ購入
 
基本パターン④は保有する仮想通貨を用いて、現存する商品やサービスを購入した場合です。
先ほどの国税庁タックスアンサーによると、仮想通貨を決済に利用した場合はその時点での商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得となるとされています。
上記では0.2BTCを決済に利用したため、商品価額10.8万円と取得価額(22万円×0.2BTC)との差額6.4万円が利益額となります。
 

基本パターン⑤ その後ビットコインキャッシュ(BCH)の一部を売却

基本パターン⑤ その後ビットコインキャッシュ(BCH)の一部を売却
 
最後はパターン③でハードフォークにより付与された仮想通貨を売却するケースです。
付与時点での取得原価はゼロでしたので、売却価額165万円がそのまま利益となります。
 
 
よって、パターン①〜⑤を合計すると2017年の確定申告に必要となる仮想通貨売買利益は、70万円+54万円+6.4万円+165万円=295.4万円となります。
 
上記のように仮想通貨の売買所得の計算は会計的な理論上はそれほど難しいものではありません。
収入からマイナスする原価は期間的に対応している必要があるという前提を頭に入れておけばすんなり理解できると思います。
 
しかし、実際にやってみると非常に複雑になってしまうのは、取引所から過去のデータが取れなかったり仮想通貨間の売買があると売買時点での円貨建ての時価がわからなかったりという問題があるためだと思います。
しっかり情報を整理して時間をかければ正しい所得が計算できると思いますので、頑張って正しい確定申告を心がけましょう。
 
 
 
(※本記事は2018年1月19日時点の法令を基に執筆され、それ以降の法令改正の影響を反映しておりません。最新の情報については専門家或いは税理士にお問い合わせください。)