2017-18年度版 香港の税制まとめ
★事業所得税
香港で事業を行う法人、個人は香港で生じた所得に対して事業所得税を納付する義務を負います。
所得の源泉
香港の税制は属地主義を採用しており、香港の法人或いは香港に居住する個人であっても、事業所得税が課される所得はオンショア所得(香港内で生じる所得)のみに限定され、香港外で発生したオフショア所得は非課税となります。
獲得した所得がオンショアで発生したものか、オフショアかという点は一般的に以下のガイドラインを元に判断します。
所得の種類 | 源泉地 |
モノの売買による所得 | 売買契約がどこで締結されたか |
製造による所得 | どこで実際に製造されたか |
サービスによる所得 | どこでサービスが提供されたか |
貸付による所得 | 借り手が最初にどこで利用したか |
不動産売買による所得 | どこに不動産が位置しているか |
キャピタルゲインか否か
資本性資産の売却による所得(通称キャピタルゲイン)は非課税で、事業所得税の計算に含まれません。
しかし、売買用の資産であればその譲渡所得に課税されますので、何が資本性資産に該当するかという点については、議論の余地があります。
例えば、一般的に個人が投資用の株式や不動産を売却した際に生じる利益はキャピタルゲインとして所得税はかかりませんが、これがトレーディング事業と見なされる場合には事業所得税が課税されます。
実務上は以下の6つのポイントを総合的に勘案して判断することとなります。
1.取引の主要な目的
2.所有期間
3.同様の性質の取引を頻繁に行っているか
4.該当資産の市場価値を上げる、もしくは購入者へ訴求するような補助的な活動を行っているか
5.資産を売却する理由
6.納税人の動機
所得税率
法人:16.5%
その他:15%
損金計上
・課税所得の獲得のために生じた経費はすべて損金計上が可能です。
・香港で使用する商標やノウハウなどの無形資産の購入といった資本性支出は損金計上できます。
・慈善寄付金は課税所得の35%を上限として損金計上できます。
欠損金の繰越
税務上の欠損金は、利益を相殺するための欠損会社の売却による株主変更がある場合などを除いて永久に繰越可能です。
非居住者に対するロイヤリティの支払い
国外の関連者である法人又は個人に支払うロイヤリティはそれぞれ16.5%、15%の源泉所得税が課されます。
非関連者である場合はその30%である4.95%、4.5%となります。
実効源泉税率 | ||
支払先 | 法人 | 法人以外 |
非関連者 | 4.95% | 4.50% |
特定の関連者 | 16.50% | 15% |
非課税項目
・配当
・資本性資産の譲渡
・利子
減価償却費
資産 | 初年度償却 | 年度償却 |
製造設備、機械 | 100% | – |
コンピューター、ソフトウェア | 100% | – |
その他設備、機械 | 60% | 10-30% |
産業用ビル | 20% | 4% |
商業用ビル | – | 4% |
ビルの改修 | 毎年20%により5年で償却 | |
環境保護機械 | 100% | – |
環境に優しい乗り物 | 100% | – |
環境保護の導入 | 毎年20%により5年で償却 |
★給与所得税
給与所得税は香港において生じた給与所得に対して課税される税で、給与以外の各種手当も含みます。
その内、住宅手当については優遇措置として、それ以外の給与・手当の金額の10%を上限に給与所得に加算することになります。
香港外に居住する被雇用者が香港で勤務する場合、香港での滞在日数が60日を超えなければ香港での納税義務はありません。
一方、香港外での雇用契約で香港内外での勤務が発生する場合は、滞在日数によって按分されます。
現物支給は基本的に以下のものを除いて非課税となります。
・現金同等物
・個人的な負債の返済
・子女教育費
・資産の贈答及び市場価値未満での売却
所得税率及び控除項目
給与所得税の計算は以下の二つの計算方法の内、有利な方を選択適用することができます。
計算方法①:給与所得から慈善寄付金を控除した金額に標準税率(15%)を適用
標準税率 | 15% |
計算方法②:給与所得から以下の控除及び慈善寄付金を控除した金額に以下の累進税率を適用
控除項目 | 2017/18 |
人的控除 | |
基礎控除(独身) | HKD132,000 |
基礎控除(夫婦) | HKD264,000 |
子女控除(1人あたり) | |
1人目〜9人目まで | |
誕生年 | HKD200,000 |
誕生の翌年以降 | HKD100,000 |
扶養家族控除(1人あたり) | |
60歳以上 | |
同居 | HKD92,000 |
非同居 | HKD46,000 |
55歳〜59歳 | |
同居 | HKD46,000 |
非同居 | HKD23,000 |
寡婦(夫)控除 | HKD132,000 |
扶養兄弟控除(子女控除を適用してない場合のみ控除可) | HKD37,500 |
扶養障害者控除 | HKD75,000 |
その他の特別控除項目 | 2017/18 |
扶養家族在宅介護費用 | HKD92,000まで |
特定の自己学習費用 | HKD100,000まで |
MPFの積立 | HKD18,000まで |
2003/04以降に発生した本人が居住する住宅ローン利子 | HKD100,000まで |
慈善寄付金 | 課税所得の35%まで |
課税所得額 | 累進税率 | 速算控除額 |
〜HKD45,000 | 2% | HKD900 |
HKD45,001〜HKD90,000 | 7% | HKD3,150 |
HKD90,001〜HKD135,000 | 12% | HKD5,400 |
HKD135,001〜 | 17% | HKD9,450 |
★資産税
香港に土地、建物を保有する個人はそれを貸し出して得た所得の80%に対して15%の資産税が課されます。
一方法人の場合は通常の事業所得税が課税されます。
★印紙税
2017/18 | |||
株式譲渡 | 0.20% | ||
不動産譲渡 | ※1 | ※2 | ※3 |
譲渡対価 | |||
〜HKD2,000,000 | HKD100 | 1.50% | 15% |
HKD2,000,001〜HKD3,000,000 | 1.50% | 3.00% | 15% |
HKD3,000,001〜HKD4,000,000 | 2.25% | 4.50% | 15% |
HKD4,000,001〜HKD6,000,000 | 3.00% | 6.00% | 15% |
HKD6,000,001〜HKD20,000,000 | 3.75% | 7.50% | 15% |
HKD20,000,001〜 | 4.25% | 8.50% | 15% |
※1 居住用不動産取得時に他の居住用不動産を香港に有していない香港永住権者。
※2 2013年2月23日以降に締結された居住用または非居住用不動産の譲渡契約。
※3 2016年11月5日以降に締結された居住用不動産の譲渡契約。
上記に関わらず、2012年10月27日以降に取得した居住用不動産を36ヶ月以内に売却した場合は以下の特別印紙税が課税されます。
居住用不動産の所有期間が6ヶ月以下 | 20% |
居住用不動産の所有期間が6ヶ月超12ヶ月以下 | 15% |
居住用不動産の所有期間が12ヶ月超36ヶ月以下 | 10% |
また、上記に加えて香港永住権者以外が2012年10月27日以降に居住用不動産を購入した場合は、不動産価格の15%の購入者印紙税がかかります。
90%以上の持分を保有するグループ内での株や不動産の譲渡で、譲受人が譲受後2年以上グループ内にとどまる場合は印紙税が免除されます。
★その他
相続税 | 2006年2月11日に廃止されたため、それ以降に亡くなった方の相続財産には相続税は課されません。 |
空港利用税 | HKD120(12歳未満は免除) |
賭博税 | |
競馬 | 72.5%-75% |
宝くじ(マークシックス) | 25% |
野球 | 50% |
事業登録費用 | |
1年間の登録費用及び賦課費 | HKD2,250 |
3年間の登録費用及び賦課費 | HKD5,950 |
支店登録費用 | |
1年間の登録費用及び賦課費 | HKD323 |
3年間の登録費用及び賦課費 | HKD939 |
ホテル宿泊税 | 0% |
再輸出申告手数料 | |
物品価格の内HKD46,000まで | HKD0.20 |
それ以降HKD1,000毎 | HKD0.125 |