専項附加控除って? 中国個人所得税の所得控除を解説!

 

中国の居住者に適用される個人所得税の計算は、日本と同様に所得から各種控除項目を差し引いて課税所得額を算出し、税率をかけることで税額を計算します。
 
より具体的には、給与・賃金所得、労務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得の4つを総合所得として合算し、そこから基礎控除(年間60,000元)、専項控除、専項附加控除、その他の控除を差し引いた金額が課税所得額となります。
※労務報酬所得、原稿料所得、特許権使用料所得はそれぞれ収入に対して一定の費用、免税割合を差し引いた金額が所得となります。
 
このうち、専項附加控除については外国人は各種の免税手当との選択適用が認められており、ほとんどのケースで免税手当の方が有利となるために専項附加控除を適用している外国人はこれまでほとんどいませんでした。
 
この免税手当については23年末までの時限措置とされているため、24年以降は外国人も含め必然的に専項附加控除を適用することになります。
 
それでは、具体的にどのような控除項目があり、いくら控除ができるのでしょうか?
 

専項附加控除の種類と金額

  1. 子女教育費
    満3歳から小学校入学前までの学前教育、または小学校入学後の全日制学歴教育を受けている子女の教育費について、子女1人につき一月当たり1,000元の控除

  2. 継続教育費
    ・中国国内にて学位取得のための継続教育について、一月当たり400元の控除
    ・技能人員職業資格、専門技術人員職業資格取得のための継続教育について、証書を取得した年度に3,600元の控除

  3. 重大疾病医療費
    当年度に発生した本人または配偶者、未成年の子女の医療費について、個人負担が15,000元を超えた部分について、80,000元を限度に控除

  4. 住宅ローン利息
    本人または配偶者の住宅ローン利息について、一月当たり1,000元の控除

  5. 住宅家賃
    住宅ローン利息控除を適用していない納税者の住宅家賃について、以下の居住都市毎の金額を控除
    ・直轄市を始めとする国務院が定める都市:一月当たり1,500元の控除
    ・上記都市以外で人口100万人を超える都市:一月当たり1,100元の控除
    ・上記都市以外で人口100万人以下の都市:一月当たり800元の控除

  6. 高齢者扶養費
    満60歳以上の父母か、または子女がすでに他界している満60歳以上の祖父母、曾祖父母の扶養費について、一月当たり2,000元を兄弟で配分して控除

  7. 幼児扶養費
    3歳以下の幼児の扶養費について、幼児1人につき一月当たり1,000元の控除
 
 
専項附加控除の他、専項控除として公的社会保険料(年金、医療保険、労災保険及び住宅積立金)、その他の控除として企業年金や個人年金、商業健康保険、公共福祉事業への寄付金、などの控除も認められています。
 
上記の内、中国に駐在する日本人出向者が適用を受ける控除項目は、多くの場合基礎控除と専項控除、加えて住宅家賃を課税所得に含める場合は専項附加控除として5.住宅家賃の月1,500元と、家族帯同の場合は子供の人数に応じた1.子女教育費か7.幼児扶養費の1人当たり月1,000元、ということになるかと思います。

 

 

 

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