中国入国招聘状の申請手続き、発行条件やプロセスを解説!

 

現在中国では有効な居留許可もしくはビザを持たない外国人が渡航するにあたって、地方政府から入国を認める招聘状(邀请函/PU)を発行してもらう必要があります。
 
この入国招聘状の発行基準が明文化されておらず、またタイミングや地域によっても難易度が異なるといった問題があるのですが、現状は招聘状による入国制限が制度として定着することで発行プロセスも徐々にこなれてきており、また今後も新型コロナ肺炎の防疫措置とそれに伴う入国制限が一定期間継続するものと思われることから、上海市を例にとり入国招聘状の申請手続きを以下に紹介します。
 

①会社所在地の街道事務所や開発区管理委員会への申請(所要期間:1~2週間)

まず上海市では、各区を更に細分化した街道や鎮、区によっては開発区といった行政単位が入国招聘状の申請窓口となっています。
例えば日系企業の集積する上海市の長寧区では9つの街道と1つの鎮に分かれます。
 
この役所が実質的に一次審査の役割を担っており、審査担当者が承認しなければ次のステップに進めません。区によって差異はあるものの、最も重視される判断のポイントは納税実績(直近数年間で企業所得税、増値税、個人所得税をいくら納付したか)で、その他会社の業種、招聘する人材の重要度、なども加味して審査が行われます。
そのため、赤字企業であったり、新設企業で納税実績がない企業は、本社グループがどれだけ大きくても申請窓口でそもそも受理がされなかったり、受理されても審査担当者に書類が回されない、といった状況が多いかと思います。
 
申請手続きに必要となる資料は下記の通りです。
 
  • 中国渡航に関する申請書(会社の基本状況説明、直近3年間納税状況説明、招聘の目的となるプロジェクトの紹介、申請者本人の紹介等)
  • 申請者名簿や情報表
  • 当局に対する承諾書や責任保証書
(上記が別々になっている区もあれば1つの書面とする区もあり、様式は区によって相違します。)
 
  • 申請者のパスポートコピー
  • 申請日直近28日間の滞在地(所在都市まで記載)
  • ワクチン接種の証明資料
 
渡航目的に応じ、それぞれ下記も必要となります。
 
就労目的(Zビザ)の場合
  • 工作許可通知
  • 労働契約書(区によっては不要)
 
出張目的(Mビザ)の場合
  • 関連プロジェクトの契約資料
  • 申請者の国外企業での在職証明書
 

②会社所在区の外事弁公室の審査(所要期間:1週間程度)

上記①の審査をパスすると資料は会社が所在する区の外事弁公室に提出され、審査が行われます。
入国後の隔離施設の手配や隔離者の管理などは区単位で行うため、入国招聘状発行のキャパシティも原則区によって異なります。
そのため、発行の実質的な権限は区の外事弁公室にあり、②のプロセスが最も重要です。
 
逆に区の外事弁公室の合意が取れていれば、①や③で却下されることはまずありませんので、申請が進まない、というケースでは申請窓口担当者に催促してもあまり意味がありません。区の外事弁へ直接アプローチする方法を模索することが重要です。
 
最近は①の申請受付段階で街道事務所が区の外事弁に問い合わせてくれたり、また区の審査が通らないと見込まれる申請はそもそも受理しない、といったこともあり、②のプロセスは1週間以内で処理されることが多くなっています。
事前に合意ができていれば、1~2日程度で完了します。
 
提出資料は①の資料がそのまま提出されるため、追加資料はありません。
 
 
 

③上海市外事弁公室の審査(所要期間:2週間程度)

 
上記②が完了すると、所在区の外事弁公室が捺印した情報表がPDFで交付されます。この時点で申請手続きはほぼ完了しています。
情報表のPDFを上海市外事弁公室のウェブサイト(http://msb.wsb.sh.gov.cn/fas/portal/jsp/index.jsp)上でアップロードし、大体2週間程度で招聘状が発行されます。
 
なお、①で提出する工作許可通知の有効期限は発行から3カ月で、その期限内に入国招聘状の取得とビザ申請を完了しておく必要があるため、全体の渡航プロセスを加味したスケジューリングが必要となります。

 

 
 
 
 

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